1.部屋を出るまで
00:00AM、昨日から引き続き、地獄のパッキングを実施。息子はようやく寝たので、マットレスごと客間に引きずって輸送。
03:00AM、なんとかパッキング終了。ふらふらになりながら、最後の部屋の掃除を行う。
ゴミ出しに行った妻から、
「これから帰国するからかもしれないが、台湾の夜は非常にエモい。あなたも体験すべき。」
と言われる。
03:54AM、私がゴミ出しに行った帰り、台湾の夜のエモさを体験するため、建物の外に出てみる。
確かにエモいかもしれないが、私としては、息子が誕生した直後の、昨年5月の皆既月食後の満月の方が遥かにエモかった。
最後に、3年間お世話になった部屋の写真を記念撮影した。各部屋に対する思い出は次のとおり。
- リビング:息子が生まれた後、机を動かしてマットを敷いたが、帰国前、元に戻したら懐かしい気分になった
- 寝室:こちらも息子が生まれた後、ベッドを動かして魔改造した。ゴメンね。
- 書斎:コロナ後は結局ほとんど勉強しなくなった。いろいろゴメンね。
- シャワールーム:カビがいっぱい生えた。適宜掃除してたのに生えたので、善意無過失。むしろ当方は被害者。
- キッチン:夜、奶瓶を洗っていたら右側から何者かの気配を感じるのが怖かった。ゴキブリが多発することを除けば、あの家で唯一の不満点。
04:30AM頃、完全退去。管理人さんに家の鍵を返却することを忘れなかった私は勝ち組。
04:40AM、タクシーが来ない。妻が管理人さん経由でタクシーを呼んでくれた。
04:50AM、タクシーが来た。荷物が多すぎて、なかなかタクシーのリアトランクのドアが閉まらない。
「これはもしかして帰国できないのでは??」と焦る。
なんとか無事、全ての荷物をタクシーに積み込むことができた。
タクシー手配と積み込みを手伝ってくれた管理人さん、ありがとう。
そういえば、管理人さんと言えば、いつもの昼の管理人さん(通称、Mr. Li-Ho-)に挨拶をしそびれたことを思い出す。
昼間あったとき、挨拶しようかと思ったが、いつものとおりスマホゲームをしていたので、また後から声をかけようと思い、敢えて声をかけなかったのだが。まぁ仕方ない。
2.空港へ
いよいよタクシーが動き出す。
助手席に哺乳瓶消毒器の段ボール箱とベビーチェアの段ボール箱、後部座席にトランク(行李)3ケースにベビーカー、後部座席に夫婦2人と赤ちゃん1人、猫1匹にリュックサック2個という大所帯。
悪名高い林森北路を北上し、民族東路の突き当りを左折。
中山北路の交差点当たりから、感極まった妻が「エモい」を連呼しながら泣き出す。
二人で「圓山站によく散歩に行ったね」などと言い合い、思い出に浸る。
二人でたくさん散歩したし、何なら最近は散歩隊の構成員が増えたぐらいには幸せである。
重慶北路から高速道路に乗るまで、タクシーの中で妻と手を取りながら、思い出話に浸る。
民族西路も重慶北路も、夜の街灯が優しいオレンジ色で美しい。
いや、何もかもが美しい。まるで映画のよう。私と妻はいつまでもラブラブだ。
車窓の写真を撮る元気も気力もなかったが、あの景色はいつまでも色褪せない思い出となるに違いないと確信している。
車は移動を続け、重慶北路から高速道路へ。
途中、空港行の線に分岐するまで、この高速道路は通勤経路。
さっきまでのラブラブな感じとは裏腹に、「社長車の運転手の運転がクソ粗くてキレそうになりながらもケータイ司法書士で勉強していた思い出」や「後任者問題」などで、あまり良くない感情が芽生える。
色々考えながらも、高速道路のオレンジ色の灯りに癒される。
ふと、「そういえば、新型コロナウイルス流行前も、こうやって飛行機に乗るため、深夜からタクシーで移動していたな」と思い出す。
もう次は無いのか、と思うと、やはり寂しい。
空港行の線に分岐したあたりから、霧が酷い。
疲れが出てきたので、少し仮眠をとる。
「もうすぐ空港」と妻に起こされ、起きる。
桃園空港にも2年間行っていなかったので、空港近くの高速道路の様子ですら、非常に懐かしい。
3.桃園空港にて
5:30AM、桃園空港に到着。
タクシーの運転手さんが荷物を降ろしてくれ、カートまで取ってきてくれたたうえ、「再見!」と粋な挨拶で送ってくれた。みんな優しい。
空港到着後、まずは「奥まった場所」のロケハンを実行。
勿論、愛猫に鎮静剤を飲ませるためである。
無事に「奥まった場所」を確保することに成功したため、鎮静剤の投薬を開始。
鎮静剤のカプセルを分解し、中の粉末剤とちゅーるを混ぜる。
大人二人がかりで、鎮静剤入りのちゅーるを愛猫に食べさせる。
口を頑なに閉じ、泡を吐いて必死に抵抗する愛猫。
何とか無事に鎮静剤の投与に成功。
その代償として、妻の服は愛猫の唾液でビチョビチョに。
鎮静剤の投与が済んだところで、エバー航空のチェックインカウンターへ。
「猫の書類を出せ」と言われ、台湾政府発行の輸出検疫証明書を提示。
今回、台湾政府発行の輸出検疫証明書の出番はないと想定していたので、当方としては完全に不意打ちだったが、結果オーライで手続きは無事完了。
あともう一つ想定外だったこととしては、預けるのに4,000TWDを取られたことぐらい。
まぁこれも必要経費なので、言われるままに支払う。
妻が4,000TWDを支払いにサービスカウンターに行っている間に愛猫が連れていかれ、妻が愛猫に搭乗前の挨拶ができなかったので、気の毒に思った。
愛猫の搭乗手続きが終わった後は、人間の搭乗手続き。
出国審査のレーンがいつもよりガラガラだったのが印象深い。
出国審査通過後、授乳室でおむつを替えて機内に搭乗。
4.機内にて
8:30AM、関空に向けて出発。
うちの息子は結構ビビりなので、絶対に飛行機の中で泣くと予想していたが、一切泣かなかった。
機内が楽しいようで、とにかくテンションMax。
新型コロナウイルスの影響で、隣の座席に乗客がいなかったため、なんとかなったが、もし隣の座席にも乗客がいたら、絶対迷惑が掛かっているハズ。
・・・というぐらいテンションMaxだったが、疲れていたようで、途中から爆睡。
その間に大人が機内食を食べ、仮眠をとる。
機内食は人参が多かった。私は問題ないが、世の中には人参が食べれない大人も存在することを付言しておく。
着陸の瞬間も、息子はぐっすり眠っており、一切起きなかった。
5.新型コロナウイルスの水際対策措置に係る対応
まぁ、こういうやつです。
ただ、厚生労働省のホームページも、外務省のホームページも、どちらも分かりにくいので、これはあかんと思いますよ。日本人でも分かりにくいのだから、外国人はもっと困るでしょう。
まぁ、それはさておき。
関空到着後、まずは新型コロナウイルスの水際対策措置を受ける。
私は人間の検疫よりも愛猫の検疫のことで頭がいっぱいなので、何をやったかあまり覚えていない。
とりあえず、次のことぐらいは覚えている。
- 係員の人はみんな流ちょうな関西弁を操る
- 台湾で受けたPCR検査証明書を提出した
- 唾液を採取された
- 唾液の採取場所には、噂どおり「レモン」と「梅干し」の画像が貼ってあった
- アプリで携帯電話番号とか隔離場所とかいろいろ細かい場所を入力させられた
- あらかじめインストールさせられていたMySOSというアプリを係員の人に渡したら、勝手に画面をめっちゃスクロールされて、無断で「同意します」的なボタンを押しまくられた
- 機内で配布された「誓約書」に署名させられたうえ、提出させられた
- これら一連のプロセスを、関空中を歩き回って行ったので、かなり運動になった
あと、後ろの席で手続きをしていた台湾人の方は日本語も英語も不得手だったようだが、係員の人がめっちゃ流ちょうな英語で質問していて、当該台湾人の方が余計に委縮していた。
で、見かねた妻が「你的位子號碼?」って助け舟を出していた。優しい妻だ。自慢の妻でもある。
6.輸入検疫
新型コロナウイルスの水際対策措置に係る対応が完了し、出国審査も終わった後、まずは愛猫との合流を目指す。
荷物置き場に愛猫のゲージと、エバー航空の制服を着た係員の方と、検疫所の制服を着た係員の方がいる。
愛猫は無事に長旅に耐えてくれたようで、一安心。
そのまま愛猫を連れて関西空港検疫所へ。
次の書類の提出を求められた。
- 輸入検疫証明書(Form AC)
- 「私は輸入40日以前に申請ができませんでしたごめんなさい」の書類
- 抗体価検査証明書
いずれも事前にeメールで検疫所に送付してチェックを受けているので、手続自体は非常にスムーズ。
また落ち着いたら、輸入検疫の手続について別途記事を書こう。
妻からは「輸入検疫になったとたん、あなたは急に元気になった」と言われた。
検疫官のオジサンは気さくな方で、世間話をしながら和やかな雰囲気で検疫手続が完了した。
「輸入検疫証明書」を受け取り、検疫所を後にする。
7.関空にて
まず、別送品の書類をカウンターに出す。忘れると厄介なことになるので。
さらに、手荷物の半分ぐらいを宅急便で妻の実家に送る。
JAFカードで一部の荷物の送料が200円引きになった。
その後、空港内のレストランで腹ごしらえをする。
デザートのアイスクリームが出てこなかったが、疲れていてクレームを入れる気力もない。
とにかく妻の自宅まで移動しようとJRの駅へ行くが、ここで衝撃を受ける。
新型コロナウイルスの影響で、昼間は「関空特急はるか」が運休になっているとのこと。
あの阿里山の記事にまで出てきた「関空特急はるか」に乗れないなんて!超ショック。
8.妻の実家まで帰ろう
「関空特急はるか」に乗れないため、仕方なく新大阪まで在来線に乗車。
新大阪から岡山までのぞみで移動。
車窓から懐かしい岡山の景色が見え、思わず感動。
岡山駅に到着した後、駅構内で記念撮影。
その後、みんな大好き特急やくもで妻の実家の最寄り駅まで移動。
人の金で食べる焼肉は不味いが、人の金で乗るやくもは心地よい。指定席なら尚更だ。
岡大生だった私にとって、特急やくもは豊かさの象徴だからね。
9.最後に
ということで、帰国しました。
一日経ってもめちゃくちゃ疲れているのですが、これ以上時間が経つことにより、帰国時の新鮮な想いがどんどん褪せていくことが懸念されるため、気力を振り絞って筆をとった次第です。
帰国のため空港に向かうタクシーから妻とともに見た台北市内の車窓が最高にエモかったです。