1.はじめに
小室圭さんの件がニュースになっていますね。
秋篠宮家の長女・眞子さまと婚約内定中の小室圭さんの代理人が取材に応じ、小室さんが「解決金」を渡す方向で金銭トラブルを解決する意向があることを明らかにしました。
小室さんは先週、母親と元婚約者の間の「金銭トラブル」と報じられている事柄について、「誤った情報をできる限り訂正する」とした文書を発表していました。
代理人によりますと、小室さんは、文書を発表したことによって、「話し合いでの解決」を目指していたという方針を明らかにすることができたので、今後は「解決金」を支払うことで金銭トラブルを解決することにしたということです。
【速報】小室圭さん “解決金”を渡して金銭トラブルを解決の意向(TBS系(JNN)) – Yahoo!ニュース
この記事では、小室圭さんが28頁の文書(以下、引用中の記載を除き「小室文書」といいます。)を公開した狙いについて考察します。
2.「法律論で対処すべきではなかった」という意見
巷では、本件は法律問題として対処すべきではなく、本当に結婚したいなら折れるところは折れるなど、うまいこと立ち回って解決したらいいのに、という意見が出ていますね。
「ただ僕、小室さんのこの気持ちが分かるのは、法律勉強したて、しかも司法試験合格する直前の人間は、みんなこういう状況になる。すべて法律で物事を考えてしまって、世の中をことを何でもかんでも法律、法律、法律ってなるんですよ。法律なんか使わずに、うまくまとめるっていうのが本来。でも法律を勉強すると全部法律になっちゃう。僕も20後半の時、こういう思考でした」 by橋下徹弁護士
橋下徹氏 文書公表の小室さんに理解「法律勉強したての人間は、みんなこういう状況に」(デイリースポーツ) – Yahoo!ニュース
小室圭さん、金銭に関しては、まずは気持ちの問題として処理すればよかったね。学費も出してもらっていたなら、感謝の気持ちと共に何とかしたいという気持ちを出せばよかった。それでもだめなときに最後の手段として法律を出せばよかった。法律に飛びつくのは法律の初学者がやりがちな悪手なんだよね。
— スラ弁(弁護士大西洋一) (@o2441) April 13, 2021
これは私の推測ですが、上記のような「法律論で対処すべきではなかった」派の意見の根底にあるものは、
「眞子様との結婚を最終目標とするなら、法律論で対処すべきではなかった。」
という考え方でしょう。確かに、結婚のみを目標とするなら、ご指摘のとおりと思います。
3.小室文書の目的を読み解く
ただ、小室圭さんが小室文書を公開した目的は、本当に「結婚に向けた問題解決」だったのでしょうか。
私が思うに、小室文書の目的は
「単に『借金ではない』という事実について、法的根拠を示しながら広く世の中に説明すること。」
に過ぎない考えます。
というか、文書にそのまま書かれていますよね。
1【はじめに】
<略>この文書は、私や母と元婚約者の方との間にこれまであったやり取り等について実際の経緯をある程度明らかにすることを通じて、これまで世の中に出回ってきた金銭トラブルと言われている事柄に関する誤った情報をできる範囲で訂正することを目的としています[注1]。
【全文】小室圭さん金銭問題の説明文書公表 | 皇室 | NHKニュース
もちろん、小室文書を出すことで結婚が前進すれば小室さんも万々歳だったでしょうが、本人としては世論が反対方向に傾くリスクも考慮しつつ、敢えて小室文書を公開した可能性も否定できません。
4.小室圭さんが守りたかったものに迫る
では、小室圭さんがそこまでして守りたかったものは何でしょうか。
下記の記事では「名誉」に着目しています。
香山さんが注目したのは、「名誉」という言葉。例えば、金銭トラブルについては「切実に名誉の問題でもありましたし、今でも同じように受け止めています」という表現で自身の見解を述べている。この部分だけでなく、「名誉」という言葉は、文書の複数カ所で見受けられた。これについて、香山さんは小室さんの「自尊心」の表れだとみている。
小室圭さん文書に「強いプライド」が見えた理由 香山リカ「怒りの怪物にならないか心配」〈dot.〉(AERA dot.) – Yahoo!ニュース
このように、「名誉」がポイントになるという点は私の感覚としっくり合います。
たぶん、これが答えでしょう。
5.「法律を勉強した自分」に置き換えて考えると。。。
さてさて、私はいちおう現在法律を勉強しています。
この記事に辿り着いた方の中にも、法律を勉強したり、仕事で法律を扱っている方が多いと思います。
もしこの問題を自分の場合に当てはめてみたとき、冒頭のように
「眞子様との結婚を最終目標とするなら、法律論で対処すべきではなかった。」
と言えるでしょうか。
- 母は金銭消費貸借契約を締結していない
- したがって、母は返還債務を負っていない
- しかしながら、世のほとんどの人間が、母は金銭消費貸借契約を締結し、返還債務が存続しているものと誤認している
- 母は返還債務を負っていないにもかかわらず、返済しなければ自らの結婚を認めてもらえないような雰囲気がある
- 世の見えない圧力に屈して返還したところで、一生、「金銭トラブルを起こした家族」という汚名がついて回る
どうですか。もし、法律を扱う自分の身にこのような事件が生じたら、理不尽で嫌でしょう。
法律家らしく、法律論の問題として、
「母は金銭消費貸借契約を締結していないので、返還債務を負っていない。」
と説明したくなるでしょう。きわめて真っ当な感情だと思います。
そう、本件における小室圭さんの目標は
「家族は金銭トラブルを起こしていないという事実を世に表明したうえで、眞子様と結婚する。」
ことだと思います。
単に眞子様と結婚するだけでは足りないのです。世間の圧力に屈し、自分の名誉が保てなければ、仮に眞子様と結婚できたとしても、彼の中で一生後悔するのでしょう。
小室文書の中にも、その趣旨の記載があります。
一般的には金銭トラブルと呼ばれていますが、切実に名誉の問題でもありましたし、今でも、同じように受け止めています。
そうは言っても、現在まで続いている報道の状況をみると、お金をお渡しして借金だったことにされる方がまだ良かったのではないか、と思われる方が多いかもしれません。
しかし、名誉を傷つけられるような疑いをかけられ、その疑いが事実でないにも関わらず早く苦しい状況から抜け出したいと思うあまり事実でないことを事実として認めるのと変わらないことをしてしまえば、一時期はそれで良くてもそのことが一生重く付きまといます。
いろいろと悩みはしたものの、一生の後悔となる可能性のある選択はできませんでした。
この考え方を理解出来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、あらゆる可能性を考えたうえで決めたことでした。
【全文】小室圭さん金銭問題の説明文書公表 | 皇室 | NHKニュース
6.最後に
そして最後に「解決金」の話です。
小室文書で「母は借金していない」ということを(世の中が聞き入れるかどうかはともかく)法的な根拠を示すことができたので、小室圭さん本人としては、「名誉」を守れた形になっているのでしょう。
このように、「母は借金していない」という前提で、自分が「解決金」という名目で支払うのであれば、
「借金はしていないけど、世間がうるさいので、仕方なく、自分が妥協してあげた。」
というように、小室圭さん自身の中でも折り合いがつくのでしょう。
だから、
「さっさと最初から解決金を支払っておけばよかったのに。」
という指摘は的外れだと思うのです。
彼としては、解決金を支払うにしても、借金の件をうやむやにせず、
「借りてない」
と明言したうえで支払わなければならなかったのでしょう。