今、台北の映画館でトトロを上映しています。
トトロは中文で「龍貓」です。
トトロは小さいとき(たぶん幼稚園ぐらい)に一回観ただけで、それ以来観たことがなかったのです。
事前知識は「お母さんが病気で引っ越す」という一点のみ。
ということで、本日、映画館で観てきました。
結果として、号泣。
妻は「トトロかわいい」とか言ってキャッキャしていますが、私は号泣。
妻から「今の気持ちをメモしておいた方がよい」と助言をいただきましたので、思いつくままにメモします。
4時間前に一通り見た記憶だけで書いていますので、「そんなシーンなかったよ」とかあれば申し訳ないです。
1.はじめに
みんな大好きWikipediaによると、トトロの舞台設定って昭和30年代前半らしいですね。
最初にオープニングで「1988年」ってバーンと出るから、てっきり1988年の話かと勘違いしていました。
そういう前提で観ていました。
だって、1988年当時(っていうか今も)、実家はあんな感じですから。
2.シーン別メモ
画像は公式HPから拝借しました。
(1)引っ越してくるシーン
もう出だしから感情が揺さぶられます。
この年齢で都会から田舎に引っ越してくるなんて。。。
それなのに気丈にふるまうサツキ(中文字幕では「小月」でした)とメイ(中文字幕では「小梅」でした)。
色々考えさせられます。
(2)2階の窓を開けに行くシーン
父さんがメイとサツキに2階の窓を開けに行かせるよう仕向ける際、うまいこと言っていたのが印象に残っています。
「さあ仕事、仕事。2階の階段は、いったい、どこにあるでしょうか?」
「階段を見つけて、2階の窓を開けましょう。」
自分が父になったとき、こんなにうまく言えるようになるのか(いや、なれまい)と思いました。
それで2階の階段を探すのですが、2階の階段がアレなのですよ。
超急こう配の、屋根裏部屋用の階段なのですよ。
実家、いまでもこの階段があるハズ。
少なくとも自分が小さいときはこの階段があって、たまに登って遊んでいたから、複雑な気持ちになりました。
そして、2階でメイとサツキがまっくろくろすけを見た後、「何かいる!」と父さんに報告した後の返しのセリフが
そりゃあスゴイぞ!お化け屋敷に住むのが、子供の時から、お父さんの夢だったんだ。
ですからね。すごいです。
私も将来、子供の話を否定せず、こんな機転を利かした返しができるようになるでしょうか(いや。できない)。
この辺でもうウルッときました。
(3)薪が風で飛ぶシーン
これは印象に残りましたね。
「大いなる自然に敬意を表す」っていう、ジブリに共通する特徴的なシーンだなあと思いながら、テーマソング(風の通り道)がめちゃくちゃピッタリハマってて、うわーすごいなーと思いました。
(4)まっくろくろすけの引っ越しシーン
メイとサツキが風の音に怖がっていると、父さんが
ワッハッハッハ… みんな笑ってみな。おっかないのは逃げちゃうから。
って言って、みんなで笑うと、本当にまっくろくろすけが逃げちゃう。
皆さんご存じかどうか知りませんが、田舎の古い家は、夜、怖いんですよ。
もう一回言いますけど、本当に怖いんですよ。
何だかんだでサツキもメイも田舎の家(まっくろくろすけを含む)が怖かったハズ。
それが、家族みんなで笑うことによって、まっくろくろすけが家から逃げていくんですよね。
本当にこの家がサツキたち家族の家になった瞬間だと思います。
そしてさっきの薪のシーンと同様に、まっくろくろすけも木に向かって飛んでいきます。
曲もさっきと同じ、風の通り道。
何かよくわからないけど、感情が高ぶって、一人で号泣していました。
(5)メイの庭遊びのシーン
父さんに「お花屋さん!」って言うやつです。
これはあれですね。
将来、日本に帰って、まだコロナが流行っていたとして。
在宅勤務になった際、子供はこうやって仕事中に構ってくるのか、と思いました。
1988年の映画なのに、2021年の現在に刺さりまくっています。
恐ろしい映画ですね。
(6)トトロの上に乗ったメイをトトロの視点から見るシーン
きわめてプライベートな話で恐縮ですが、うちの愛猫が妻のお腹に乗ることがよくあるのです。
むかし、愛猫が妻のお腹に乗っている様子を、妻がスマホで高速動画撮影したことがありまして。
妻の呼吸でおなかが上下するのにつれ、愛猫も上下移動をしていました。
それを思い出しました。
この映画では数少ない、微笑ましいシーンです。
(7)メイが学校に来るシーン
これもあれですね。
現在の待機児童問題そのものですね。
1988年の映画なのに、2021年の現在に刺さりまくっています。
恐ろしい映画ですね。
(8)バス停のシーン
これはあかんやつや。
バス停に仕事終わりの親を迎えに行く気持ちはよくわかります。
それで親が乗ってなかったら、子供は不安でしょう。
映画ではこの後トトロが出てきますが、出てこなかったら子供的にはめちゃくちゃツラい展開です。
心が痛みます。
いろいろ想いがこみあげてきて号泣しました。
(9)メイを探すシーン
泣いた泣かないは関係ないのですけど、何となく「君の名は。」っぽいなーと思って見てました。
何となく、終盤の不吉な感じがしませんか。
何でだろう。夕日と雲の色遣いのせいかしら。
トトロとは全く関係ない話ですが、「君の名は。」は日本にいるときに都内の賃貸マンションで観ることができて本当によかったと思っています。あれは観た場所とタイミングがよかった、うん。
3.まとめ的なもの
昔、トトロを観たのは幼稚園のときぐらいじゃなかったかと思うのですが、そんなときに観ても、何にも感じないですよ。
だって、メイと同じぐらいの歳じゃないですか。
作中ではメイが縁の下をのぞいたり変なところをくぐってたりしていましたが、自分も現役でそういうことをやっているときにこの作品を観ても、特に心は動かないのです。
今でこそ、縁の下の香りとかひんやりした感じとか、懐かしいなあと思いますが、現役幼稚園児はそういう感傷に浸らないのです。
あと、私が現役の幼稚園児だったころは実際にああいう家に住んでたから、当時は懐かしいとも何とも思わなかったのです。
今日見たら流石に懐かしいとは思ったけど、ああいう家自体にはあまり良い思い出はないし、個人的には住むなら都会の家の方が良いです。
今日、トトロを観て、「とにかく父さんとサツキがしっかりしていて凄い!!!」と思いました。
その点にすごく心を揺さぶられ、感極まって泣いたけど、田舎暮らしが良いかどうかは別の話。
ただ、トトロに出てくる田舎の人は(少なくとも表面上は)皆いい人なので、誰かみたいに田舎町にりゅうせいぐんを打ち込んだりしたくはならないです。
ということで、作中では父さんとサツキの人格者っぷりが際立ちました。
そして、「将来自分が父になったとき、あのように振舞えるのか?」と自ら問いかけたとき、諸々の感情が込み上げ、泣いてしまったのです。