簡易合併および略式合併の要件と趣旨(メモ)

雑記

自分用のメモです。(あまり自信がない)

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1.簡易合併および略式合併の要件と趣旨

合併の種類 利用の可否 要件 趣旨
簡易合併 利用できる場合 合併対価が、吸収分割存続会社の純資産額の5分の1であること【下記2.参照】 吸収合併存続会社の株主に対する影響が軽微であるため
利用できない場合 吸収合併存続会社が譲渡制限会社であり、かつ、合併対価が吸収合併存続会社の譲渡制限株式であること(→存続会社の株主総会が必要) 譲渡制限会社の第三者割当は株主総会特別決議が必要となるため(既存株主の閉鎖性への配慮)
合併差損が生じること【下記3.参照】(→存続会社の株主総会が必要) 吸収合併存続会社の株主に対する影響が軽微とはいえないため
略式合併 利用できる場合 ①吸収合併存続会社が、吸収合併消滅会社の議決権の10分の9以上を有していること(消滅会社の株主総会が省略される) 吸収合併消滅会社の株主総会を開催する必要がないため
②吸収合併消滅会社が、吸収合併存続会社の議決権の10分の9以上を有していること(存続会社の株主総会が省略される) 吸収合併存続会社の株主総会を開催する必要がないため
利用できない場合 ①の場合:吸収合併消滅会社が公開会社であり、かつ、合併対価が吸収合併存続会社の譲渡制限株式であること(→消滅会社の株主総会が必要) 吸収合併により、従来公開会社であった吸収合併消滅会社の株主が譲渡制限会社の株主となるため(譲渡制限の場合は特殊決議=頭数要件が必要)
②の場合:吸収合併存続会社が譲渡制限会社であり、かつ、合併対価が吸収合併存続会社の譲渡制限株式であること(→存続会社の株主総会が必要) 譲渡制限会社の第三者割当は株主総会特別決議が必要となるため(既存株主の閉鎖性への配慮)

2.5分の1要件の確認

(1)承継債務額および承継資産額の計算

合併対価の価額(法796条2項1号)
吸収合併消滅株式会社の株主等に対して交付する吸収存続株式会社の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額(同号イ)
吸収合併消滅株式会社の株主等に対して交付する吸収合併消滅株式会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額(同号ロ)
吸収合併消滅株式会社の株主等に対して交付する吸収存続株式会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額(同号ハ)
吸収合併存続会社の純資産額(法796条2項2号) ⑤=⑥+⑦+⑧+⑨+⑩+⑪+⑫+⑬
資本金の額(施行規則196条1号)
資本準備金の額(施行規則196条2号)
利益準備金の額(施行規則196条3号)
法第四百四十六条に規定する剰余金の額(施行規則196条4号)
最終事業年度の末日における評価・換算差額等に係る額(施行規則196条5号)
株式引受権の帳簿価額(施行規則196条6号)
新株予約権の帳簿価額(施行規則196条7号)
自己株式及び自己新株予約権の帳簿価額の合計額(施行規則196条8号)

(2)5分の1要件を満たすか否かの確認

①の⑤に対する割合(法796条2項本文) ⑭=①÷⑤

3.合併差損の確認

あまり自信がないので、実務対応する際は以下を参照しながら進める。

コンメンタール会社法施行規則・電子公告規則[第3版]

1.承継債務額の計算

承継債務額(施行規則195条1項) ① =(②-③)-④
吸収合併後直後に存続会社の貸借対照表を作成した場合の負債額に計上すべき額(1号)
合併対価として交付する[×金銭、×株式、○社債、×新株予約権、×その他の財産]の帳簿価額(1号)
吸収合併後直前に存続会社の貸借対照表を作成した場合の負債額に計上すべき額(2号)

2.承継資産額の計算

承継資産額(施行規則195条2項) ⑤=⑥-(⑦-⑧)
吸収合併後直後に存続会社の貸借対照表を作成した場合の資産額に計上すべき額(1号)
吸収合併後直後に存続会社の貸借対照表を作成した場合の資産額に計上すべき額(2号)
合併対価として交付する[○金銭、×株式、○社債、×新株予約権、○その他の財産]の帳簿価額(2号)

3.株式等を除く合併対価の確認

合併対価として交付する[○金銭、×株式、×社債、×新株予約権、○その他の財産]の帳簿価額(法795条2項2号)

4.合併差損が生じるか否かの確認

[1] 承継債務額が承継資産額を超える場合(法796条2項ただし書き、法795条2項1号) ⑩=①-⑤
[2] 合併対価として交付する金銭等(株式、社債、新株予約権を除く)の帳簿価額が、承継資産額から承継債務額を控除した額を超える場合(法796条2項ただし書き、法795条2項2号) ⑪=⑨-(⑤-①)
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