わかりやすい社内報告書を書く方法 #legalAC

雑記
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1.はじめに

このエントリーは「法務系 Advent Calendar 2022」の6日目の記事として投稿されたものです。

世古修平様からバトンをいただきました。

ここ数年、「裏」で書いていましたが、「表」は初めてです。。。

さて、私は長らく海外現地法人に島流しされておりました。

現地法人での主な任務はトラブル発生時の「対応」と「本社報告」でした。

今は本社に戻ってきましたが、よく、後輩のメールの添削をしています。

これらの経験をもとに、今日は「わかりやすい社内報告書を書くポイント」というテーマで記載してみます。

どちらかというと若手向けのテーマで、具体的な方法というより「心構え」を説くようなものになっています。

なお、あくまでも、これまでの自分の経験に基づく内容ですので、異なるご意見等あるかと思います。ぜひ、優しくご指摘いただけると幸いです。

早速ですが、私が考える「わかりやすい報告書を書くポイント」は次の3点です。

[ポイント1]文書の目的と宛先を明確にする
[ポイント2]結論をできるだけ前に持ってくる
[ポイント3]段落のレベル感を揃える

2.[ポイント1]文書の目的と宛先を明確にする

要するに「誰に」「何を」伝えるための報告書か、という点を常に意識しながら書こう、ということです。

(1)何を伝えるための報告書か?

トラブル対応時を例にとると、法務担当者が作成しそうな報告書としては、たとえば次のようなものがあります。

①トラブル発生時の第一報を目的としたもの

②事実関係の調査報告を目的としたもの

③トラブル解決に向けて立案した対応策を報告するもの(対応策につき社内承認を得ることを目的としたもの)

上記のうち①では速報性、②では網羅性および正確性、③では当該対応策を選択するメリット/デメリットといったように、報告書の目的に応じて求められるポイントが異なっているため、これに応じたものとすべきです。

ですが、実際には、①なのに発信が遅い、②なのに不正確、といったように、本来の役割を果たせていない報告書を(社内で)よく見かけます。

(2)誰に伝えるための報告書か?

個人的に最も気を付けているのが、この「誰に伝えるための報告書か?」という観点です。

これは、言い換えると

「読者一人を想定し、その読者の状況に応じた報告書を書こう!」

ということです。

先ほどの「③トラブル解決に向けて立案した対応策を報告するための報告書」の例で言うと、提出先が

  • 先輩の法務担当者か
  • 法務部長か
  • 役員、事業部長か

によって、記載する内容は大きく変わるはずです。

ア.先輩の法務担当者に読んでもらう場合

この場合、たとえば自分が調査した法令の内容の正確性、立案した対応策の妥当性をチェックしてもらうために読んでもらう、ということが想定されます。

そうであれば、自らの検討の過程が伝わるよう、細かい部分まで正確に記載すべきです。

イ.法務部長に読んでもらう場合

この場合、たとえば法制度の概要および対応策の内容を理解してもらったうえ、役員や他部署の部長等に説明してもらう、ということが想定されます。

そうであれば、法令の内容と、当該対応策を選択するメリット/デメリットの双方を、バランスよく記載すべきです。

ウ.役員、事業部長クラスの方に読んでもらう場合

なぜかよくわからないのですが、私のような末端従業員から直接、事業部長クラスの方に対して報告書を提出するときがあります。

事業部長という方は法務のバックグラウンドがあるわけではなく、また、会社の事業運営そのものが仕事なので、当社がとるべき対応策およびそのメリット/デメリットを重点的に説明すべきです。

法令の内容の説明は、「なぜこの対応策をとるのか」という部分を説明するために必要ですが、平易な用語で、できるだけ簡潔に行うべきでしょう。

(3)「誰に伝えるか」を明確にすると、「何を伝えるべきか」がより明確になる

社内では、いろいろな人が、いろいろな立場で仕事をしています。

立場によって、持っている情報も、必要としている情報も異なります。

なので、(実際には複数人が読むとしても、)仮想読者を一人に絞って、その人のレベル感に応じた報告書を書くべきです。

上記(2)で見たように、先輩の法務担当者、法務部長、事業部長など、とにかく仮想読者を一人に絞ることにより、「何を伝えるべきか」という点が、より明確になります。

事業部長宛てに、何の意図もなく、ただ自分が調べた条文のコピペを送るのは、洗練された報告書ではないと思います。

事業部長にとっては不要な情報だからです。

不要な情報をむやみやたらに送り付けるのは受け手に負荷をかける行為であり、思慮が浅いと私は考えています。

どうしても条文のコピペを送りたければ、「参考資料」として、別紙で送ればよいのです。

八方美人な報告書は、結局誰からもモテません。

意中の相手一人に絞った、愛のある報告書を書きましょう。

3.[ポイント2]結論をできるだけ前に持ってくる

文書を書くときは結論を前に持ってきましょう、と皆が言います。

でもこれって難しくないですか。

なぜなら、[自分の知識量]≦[読み手の知識量]でない限り、結論を冒頭で言っても、何のことかわからないからです。

たとえば、先日、「明らかガイドライン」の改正が公布された(たまたま今日が施行日ですね。)ので、これを法務部長に報告するとします。

部長が安全保障輸出管理に詳しければ、報告メールの書き出しは

明らかガイドラインが改正されます。

で伝わります。

一方、部長が安全保障輸出管理にあまり詳しくなければ、報告メールの書き出しは

外為法のキャッチオール規制の需要者要件に該当した場合であっても、許可申請不要となる場合の判断基準として「明らかガイドライン」が定められています。

今回、この、明らかガイドラインが改正されます。

と、一言、補足を入れるべきでしょう。

さらに、安全保障輸出管理の知見がほとんどない部長向けのメールであれば、

取引相手の契約書に「当社は大量破壊兵器を開発しています♪」と記載してあったり、取引相手が経産省の懸念顧客一覧表に記載されていたりするなどの場合、原則として外為法の輸出許可が必要となります。

ただし、この場合でも、「明らかガイドライン」という基準を満たせば、許可申請が不要となります。

今回、この、明らかガイドラインが改正されます。

としないといけないかもしれません。

でなければ、何を言っているか、部長には全く伝わらないはずです。

ここで私が言いたかったのは、「文書を書くときは結論を前に」というお題目に対しても、「読者一人を想定し、その読者のレベル感に応じた報告書を書く」というポイントが適用されるということです。

たしかに冒頭でダラダラと補足説明を書くのは気が引けますが、いきなり結論を持ってきて仮想読者が理解できないぐらいであれば、必要最小限の範囲において、躊躇せず、冒頭でも補足説明から書き始めるべき、というのが私の信念です。

ただしこの場合、どこまで補足説明すべきか、考えに考え抜く必要があります。

4.[ポイント3]段落のレベル感を揃える

これはもう形式的なことで恐縮ですが、段落のレベル感を揃えるのは、読み手の理解も深まるし、何よりも、報告書作成中の自分の頭の整理にもなります。

番号体系は好みの問題だと思いますが、私は絶対に下記体系を使うよう、前職で厳しく躾けられましたので、下記を使っています。

1.
2.
3.
 (1)
 (2)
 (3)
   ア.
   イ.
   ウ.
    (ア)
    (イ)
    (ウ)

5.まとめ

今回、「わかりやすい報告書を書くポイント」というテーマで考えてみましたが、結局のところ「相手の立場を思いやって書く」ということに尽きるのかもしれません。

今回挙げた3つのポイントは、社内報告書のみならず、顧問弁護士とのメール、社内宛の通知文書や依頼文書など、ありとあらゆるところに応用が利くと考えています。

6.さいごに

番号体系のところで前職に触れましたが、前職の法務部はもともと総務部文書課から派生したため、部員にはとにかく「正確でわかりやすい日本語」を使うことが厳しく求められていました。

今の私が、前職で求められていた「正確でわかりやすい日本語」を使えているかどうかわかりませんが、そういう指導を受けていたという矜持をもって、今の職場でも頑張っています。

明日はMasatoshi Adachi / 足立昌聰様です。

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