1.はじめに
このエントリーは「裏 法務系 Advent Calendar 2023」の3日目の記事として投稿されたものです。
幹事の@kanegoontaさんにおかれましては、いつもありがとうございます。
さてさて、諸般の事情より、今年の4月から某社の課長職を拝命することとなりました。
現在、マイ課には法務担当と総務担当が二人ずついらっしゃいます。
どうせそのうちお払い箱になる(?)と思われますし、課長職になって日が浅い今の「見え方、感じ方」を記録できるのは今しかないと思い、今年はこのテーマで記載させていただく次第です。
2.業務内容
今の業務内容はこんな感じです。
- 担当者の業務の進捗管理
- 担当者の成果物(契約審査等)のダブルチェック
- 押印申請書の審査
- 予算・実績の管理
- 伝票確認
私の半年ちょっとの経験では、一つ目の「担当者の業務の進捗管理」が一番大変でしたので、その点について記載します。
3.担当者の業務の進捗管理とは
ここでいう「担当者の業務の進捗管理」とは、次のように広い概念をいいます。
(1)担当者の業務負荷の確認
まずは担当者の業務負荷を確認します。
ただ、現在、法務担当者は取引法務と商事法務がそれぞれ1名ずつであることから、各担当の業務量はすべて丸見えという状況です。この点はイージーモードです。
業務量に加え、「①体調」や「②家庭の様子(子供が熱を出したので突発的に数日間何もできなくなった等)」を考慮し、日頃から担当者の業務負荷を把握するように努めます。
上記に加え、担当者に対して「どう?」「余裕ある?」「しんどい?」「いけそう?」「きつい?」などなど、適宜声をかけるようにしています。
上司として見積もっている業務負荷と、担当者の主観的な業務負荷の不一致(※)を防ぐためです。
(※)上司としては「コイツまだ余裕やろ」と思っている一方、担当者としては「もう無理しんどい」と思っている、といった事態などなど。
(2)担当者の業務の優先順位付け
法務あるあるですが、最大瞬間風速的に、仕事が殺到することがあります。
各法務担当者は、自ら優先順位をつけて仕事に対応してもらっていますが、必要に応じて担当者が付けた優先順位を確認するようにしています。
そうすることにより「このクソみたいな業務は、●●までやらなくてよい」という判断に対して上司のお墨付きが付与されることになるので、担当者としても、より安心して働くことができるのではないかと思っています。
(3)舐めた依頼をしてくる部署をシメる
現状、これに一番労力を割かれています。
今の職場には「舐めた依頼をしてくる部署」というのがございます。
舐めた依頼とは、Twitter(本記事において、敢えて「Twitter」という。)でよく見かける「契約書の翻訳をしてください」みたいな依頼を100倍ぐらい悪質化したものと考えてください。
要するに「本来法務がリソースを割く必要がない業務であり、かつ、応じた場合には非常にリソースが割かれてしまうもの」ですね。
私も法務担当者も、全会一致で辟易しています。
こういう理不尽な依頼が来てしまうと、せっかく小まめに担当者の業務負荷を確認したり、担当者の業務の優先順位付けを行ったりという私の努力が水の泡となってしまいます。
なので、こういう舐めた依頼をしてくる部署をシメるという業務が、非常に重要になってきます。
法務担当者の期待を一身に背負っているので、絶対に負けることができない戦いです。
単騎で乗り込んで勝つ見込みがあれば、単騎で乗り込みます。
単騎で乗り込んで勝つのが難しそうであれば、適宜、さらに上の上司(部長等)を巻き込んで、負けない体制を構築します。
ここで負けると法務担当者の負担が増えるだけでなく、「結果として部下を守れなかった上司」ということになり部下に対する私のロイヤリティーがバンジージャンプのように下がってしまいますので、繰り返しになりますが負けることは絶対に許されません。
(4)他部署に恩を売る
上記(3)と矛盾するようにも見えますが、状況によっては法務と関係ない依頼でも受ける等、他部署に恩を売るようにしています。
何だかんだで社内同士、結局は助け合いの世界ですので。
忙しいとき、困っているとき、法務も他部署に助けてもらいますので。
余裕があるときに、恩を売っておきましょう。
ただ、担当者には「どうして私たちがこんな仕事をしないといけないのですか?」と不満がたまりますので、この点、しっかりとフォローするよう心掛けています。
4.担当者との接し方
自部署の担当者との接し方ですが、「とにかく丁寧に、感謝の気持ちを忘れない」という方針で対応しています。
何か成果物が出てくる都度、「ありがとうございます」と感謝を伝えるようにしています。
これは別におだてているわけでもなんでもなく、心の底から、担当者が成果物を出してくれるということに対して、感謝の念を抱いているからです。
たとえばですが、私とモメた等の理由で「もう辞めてやるわ」と言われた場合、新たに担当者を採用しないといけないし、それまでの間、私の業務負荷が増えるじゃないですか。
それって、非常に面倒くさいじゃないですか。
そういう事態にならず、しっかりと仕事をしていただいているおかげで私の負荷が減っている、という事実に対し、感謝の気持ちを忘れないよう心掛けています。
5.さいごに
振り返ってみて、課長職というのは、本当に人間関係が重要になる仕事だなと再認識しました。
上記3.(3)で「上司(部長)に助けてもらう」と記載しましたが、もちろんこれは「舐めた依頼をしてくる部署をシメる」以外も含め、すべてに共通します。
そういう意味では「『部下』『上司』『他部署』の3要素を円滑に繋ぐ」というのが、課長職の役割かと思います。
正直申しあげますと、今はよい上司に恵まれているのでイイ感じに回せているような気がしますが、もし、今後社内異動でそりが合わない上司が来たら、一気に崩壊するかもしれません。
人間関係が重要になる課長職ですが、筆者はコミュ障なので、これからも無事に務まるのか、懸念を払しょくしきれない今日この頃です。