勘と度胸に依存した私の契約審査基準:取引基本契約書

雑記
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はじめに

次の会社では、契約審査のポリシーがめっちゃ厳しく決まっているらしいのです。

今まで、契約審査のポリシーが明確に定められている会社に勤めたことがなかったので、転職前の段階で、これまで自分が勘と度胸に依存して対応してきた契約審査の基準をメモしておこうと思います。転職して実務が始まると、忘れてしまうと思うので。。。

なお、上述のとおり、私は今まで契約審査のポリシーが明確に定められている会社に勤めたことがなかったので、以下に記載するものは、私が過去に所属していた会社の契約審査ポリシーでない旨、明記させていただきます。隣の机で、先輩は、同期は、後輩は、もっと厳しい修正を入れたり、もっと甘い修正を入れていたりしたのでしょう。

ちなみに今日は「取引基本契約書」編です。余裕があれば、秘密保持契約も書きたいですが、どうでしょうか。

この契約書(↓)を上から順に見ながら、気になる条項についてコメントしていく形で進めたいと思います。

契約審査基準

第1条

適用範囲の制限(「●●に関する商品の個々の取引」とか「A事業部が所管する商品の個々の取引」とか)

売主側:ケースバイケース。社内で全然違うビジネスモデルの事業が複数あれば、要検討かな。

買主側:ケースバイケースだけど、売主側ほどは慎重に検討しないと思う。

基本契約と個別契約の適用優先順位

売主側:ケースバイケースだけど、基本的に個別契約優先。不利な基本契約を結ばされることが多いので、個別契約でひっくり返せるように。

買主側:ケースバイケースだけど、基本的に基本契約優先。有利な基本契約を結べるのであれば、それを個別契約でひっくり返されないように。

第2条

注文書のみなし承諾

売主側:ケースバイケース。クソみたいな悪条件の注文書が来て、応答を失念してみなし承諾になると最悪なので。入れるにしても期間は7日間ぐらい確保したいところ。

買主側:なかったら、入れる。早く注文Fixさせたいから。期間も短い方がいい。それこそ3日とか。

第3条

見積書における調達先や原価の開示

売主側:ありえんわ。氏ね。

買主側:自作の取引基本契約書には入れてるけど、これは昔見た契約書の中で結構キツいやつに入ってたから、備忘的に入れているのですわ。自分で一からドラフトするとしたら、流石にこんなん入れんよ。取引先との信頼関係は大事よ。

梱包費用

新卒で最初に配属された時の研修で「梱包費用はモメやすいから必ずチェック」と指導されたのを今でも覚えてるけど、結局これって個別契約で決める話になるから、基本契約の契約審査ではチェックする機会がなかった・・・。

第4条

支給品等の取り扱い

これは自作の取引基本契約書のとおりやね。

売主側でも、買主側でも、次の条件で漏れなく盛り込まれているかどうかを確認。

  • 支給品等の引き渡し後、直ちに検査・無償支給品の所有権は買主に帰属
  • 有償支給品の所有権および危険は引渡しのときに移転(※ここは「支給品の代金支払時」の方がいいかも・・・。ケースバイケース。)
  • 売主は支給品等に対し善管注意義務を負う

第5条

検査

売主側:できるだけ早く検査をさせたい。「受領後直ちに」がベスト。長すぎたら修正。

買主側:ここは実際の取引内容(具体的には商品の受領場所)を確認しないと修正できないので、特に依頼元に確認。そのうえで、できるだけ検査期限を長く設けたい。

検査基準

売主側:「別途買主が定める方法にて検査を行う」となっている場合、「検査方法はわかりますか?検査基準書等があるのでしょうか?」と依頼元に聞く。あまり詳しく突っ込むと、検査基準書等がない場合の対応がややこしくなるので、このように聞くにとどめることが多かった・・・

買主側:特に気にしない

第6条

所有権の移転時期

売主側でも、買主側でも、

  • 国内取引の場合、(引渡し後の)「検査合格時」が妥当かな。(検査前の)「引渡し時」でドラフト先方ドラフトが出てきたら、これもそのまま通すかな。
  • 海外取引の場合、危険負担の移転時期はIncotermsで「引渡し時」に移転するから、所有権の移転時期もこれに揃えるため「引渡し時」が一番キレイかな。

危険負担の移転時期

売主側でも、買主側でも、とにかく、所有権と危険の移転時期を揃える。

理論的には、売主側でも、買主側でも、自社にとって有利な方だけ先に移転すれば有利な条件になるが、相手方に対して「なぜこっちだけを先に移転させるのか」を説明するのは結構理屈に困るのでは?と思う。個人的には、特に説得の決め手を欠くのにもかかわらず、この点についてこだわって交渉するのはかなりの労力を要するので、それなら最初から中立的な案で打診してスッと流すという作戦を採用していた。もちろん、取引特有のリスクに鑑み、あえて揃えないようにする必要があるときはこの限りではないが、今までの経験上、そのようなケースはあまりなかった印象。

逆に、相手方が有利な条件で出して来たら、徹底抗戦。

第7条

契約不適合の定義

売主側:必ず「契約不適合」と「個別契約において合意した仕様」を一致させる。それ以上含みを持たせるドラフトが出てきたら、徹底抗戦。

買主側:少なくとも「個別契約において合意した仕様」は入れる。あとはどこまで含みを持たせるか(そもそも含みを持たせるのかどうかも含め)、ケースバイケースで検討。

契約不適合責任の追及期限および内容

売主側:

  1. 直ちに検査をして契約不適合を通知し、または直ちに発見できない場合において6か月以内に契約不適合を通知した場合、通知した時から5年間契約不適合責任を追及できるという民法166条1項の規定が排除されており、契約不適合責任の追及期限そのものが「直ちに発見できない場合において6か月以内」までとなっていること。(直ちに通知さえすれば、追求権自体は5年間消滅しないというのは売主側からするとリスクがとても大きい。)
  2. その他の点については、民法および商法の規定と比較して不利になっていないこと。

買主側:

  1. 民法および商法の規定と比較して不利になっていないこと。
  2. 先方のドラフトから「こなれていない感」が醸し出されている場合、「商法第526条は本契約に適用されない。」を入れるかも。でも、無理には入れないかな。。。

第9条

相殺することができる当事者

売主側:相手側からの相殺しか認められていなかったら、双方に修正。

買主側:相手側からの相殺しか認められていなかったら、双方に修正。買主側が売主側に対して債権を持つというシチュエーションはあまり想定されないが、今後どのようなことが起こるかわからないため。他事業部では売主と買主が逆転して取引しているという場合もあるため。

自働債権の弁済期到来前の相殺

売主側:なかったら、入れておく。売掛金の早期回収。

買主側:ケースバイケースかな・・・。自己の債務(買掛金)の期限の利益が消えてしまうことになるので、あらためてよく考えるとそんなにメリットなさそう。

第10条

秘密情報の定義

売主側、買主側ともに、取引基本契約の秘密保持条項では、「書面により特定されたもの」までは入れないかな。単独の秘密保持契約なら入れるけど。あとは、目的外使用の禁止も規定されているかどうかをチェックする。

第11条

第三者の権利非侵害の保証

売主側:「知りうる限りで」を入れてもらうよう交渉する。買主側が折れなかったらどうしよう・・・。依頼元と相談やな。

買主側:非侵害を保証させる。かなり強めに交渉する。「どうしても・・・」となったとき、最後の最後に「知りうる限りで」を落としどころにする感じ。

第12条

これは買主が売主に図面を交付した場合の規定なのでこのままですが。

ちょっと話が変わるのですが、図面と言えば、「設計」+「建設」で建設工事の請負契約を締結する場合について。

発注者側:以下、全部入れる。

  • 知的財産権(著作権法第27条および第28条で定める権利を含む。)を発注者に譲渡
  • 譲渡対価は契約金額に含む
  • 著作者人格権不行使

第13条

権利義務の譲渡等

売主側、買主側ともに、入れる。

第14条

再委託

買主側:基本的には買主側の事前承諾事項。特殊なケースであれば、承諾不要もありえるかな・・・。

第17条

通常の契約違反を理由とする解除

売主側、買主側ともに、通常の契約違反を理由とする解除(信用不安とか反社とか以外)であれば、解除前に催告期間が設けられていることを確認する。設けられていなかったら、入れる。

第19条

損害賠償の範囲

売主側:自分からドラフトするときに、特に制限は設けないかな・・・。設けたせいで売れなくなったら困るし。依頼元から「ぜひ損害賠償額に制限を設けたい」という相談があれば、喜んで設ける。

買主側:「間接損害免除」「個別契約の売買代金を上限」どちらも消す。民法どおりの規定に修正する。既に見積書をもらっていて、見積条件に「間接損害免除」とか「個別契約の売買代金を上限」とか書いてあったら、トーンを弱める。

「間接損害免除」と「個別契約の売買代金を上限」のどちらか一方しか消せない場合であれば、「個別契約の売買代金を上限」の方を消すかな・・・。難しいな。ケースバイケースで検討かな。

第23条

管轄裁判所

売主側、買主側ともに、

「第一審の」「専属的」「合意管轄裁判所」の3点の記載漏れがないかどうかをチェック。漏れていたら修正する。

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