書評:88の事例でひもとく台湾法Q&A

書評(本以外含む)

昨日に続き、台湾法の書籍のレビューです。

88の事例でひもとく台湾法Q&A
黒田法律事務所 (著)

これは、先代の駐在員が購入後、帰任時に私に引き継いでくださった本です。昨日紹介した本が台湾法を「広く薄く」説明するというコンセプトである一方、こちらは「狭く厚く」という印象です。

  • Ⅰ.会社法編
  • Ⅱ.労働法編
  • Ⅲ.知的財産権法編
  • Ⅳ.公平取引法・消費者保護法編

えっ、民法は。。。はい、一応あります。「コラム」という形で。約1ページほど。

凄いですね。民法の説明を端折り、上記4テーマに絞ってのQ&A集です。そもそも、「まえがき」すらありません。まさに選択と集中。(良い意味で。)

そして、この本も古いです。初版発売後、改訂版が出ていません。2011年発売ですので、約10年前の法律に基づいて記載されています。

と、ここまで読むだけで、前回のレビューと同様、本だけを頼りに実務を運用することは難しいことが分かるかと思います。記載内容自体は非常に詳しいし、テーマを絞っているということは、そのテーマにドンピシャの事例があればかなり有用なのですが、如何せん、2011年の法令に基づいているというところが痛い。使い方としては、トラブル発生時はまず法律事務所や人事総務のローカルスタッフに相談し、その後、自分の中で考え方を整理する際のお供として利用するというのがよろしいのではないでしょうか。

そういう使い方であれば、個人的には労働法編は読みがいがあると思います。会社法は、株主総会の決議要件などが日本の会社法の規定とこんがらがってしまうと司法書士試験の勉強に悪影響を与えるので、敢えて読んでいません。また、知的財産法や独禁法、消費者保護法といった分野については、私は実務で扱っていませんので、内容の良しあしについて判断する知見がありません。

その労働法編ですが、例えばQ21.は「労働契約の種類にはどのようなものがあるのか。」という問いです。

そもそも、労働契約の種類というのがピンと来ないかと思いますが、上記のQ.に対する回答内容について、少し引用してご紹介します。

1.労働契約の様態
労働基準法第9条によれば、台湾の労働契約には、主として期間の定めのない契約と期間の定めのある契約の2種類があり、期間の定めのない契約が原則とされている。<略>

88の事例でひもとく台湾法Q&A 65頁

上記引用部およびその後の<略>以下には大事なことがいろいろと書いてあります。そのまま引用すると本のネタバレになりますので引用は上記に留めますが、私が赴任後にローカルスタッフの方からレクチャーを受けたり、現地の法律事務所のセミナーを受けたりして繰り返し聞いたことがコンパクトにまとめて記載されています。

繰り返しになりますが、この本だけで問題解決するという姿勢は放棄し、トラブル発生時は法律事務所にお世話になるという前提の下、事後的に自分で知識を整理するという使い方であればよい本だと思います。

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